血統倉庫

50万頭のサラブレッド血統データベースによる雑多な血統資料の置き場所です

配合診断について

 

※ 配合診断プログラムは、私が10年も前に作ったものです。以下の記述は、忘れかけていたことを懸命に思い出しながら書いたものです。部分的に不正確な内容があるかもしれません。予めご了承下さい。

 

★概要

 

私は生命科学を学んだ者として、オカルト的な「血統論」は一切排除し、科学的に自明な手法のみを用いて競走馬の血統を考えています。

 

ここで述べる配合診断とは、一言でいうと「どの祖先に由来する遺伝子がより多くホモ遺伝子となっているか」を計算により推定することによって競走馬に隠された能力や適性を探るものです。

 

計算は9代前までの全ての祖先、すなわち9代血統表に現れるのべ1022頭を1頭残らず調べた上で行われます。ただし、それほど厳密さを追求した計算ではなくて大雑把な結論のみを求めています。

 

 血統診断プログラムは色々なパラメータを提示しますが、それを元にしてこのブログ内においては「血統濃度」と「主要素」を記載します。これは、「血統表を2行に要約する」という試みです。表示するのは計算による客観事実のみで、人間による主観は入り込みません。

 

このプログラムでは、すべての遺伝子が親から子へ50%の確率で伝えられることを前提に計算しています。しかし、実際には種牡馬になるほどの優れた馬は優れた遺伝子を受け継いでいることが明らかですので、理論上の数値は必ずしも事実とは一致しないことになります。それでもあえて補正などは加えず、それを踏まえた上で客観的な計算結果を求めることを第一義としています。

 

 

★競走馬の能力を決めるもの

 

 (父の遺伝子+母の遺伝子)÷2 ± 偶然要因 ± 配合要因 ±環境要因

 

という計算式によって馬の能力は決まります。

 

父母からどの遺伝子を受け継ぐのかは全くの偶然に支配されます。これが偶然要因であり、予測不可能な部分です。

 

ある遺伝子について父と母から同一のものを受け継げば何らかの効果を発現する場合があります。これによって父母にない形質や祖先の持っていた形質を引き出せる可能性があります。これが配合要因であり、父の祖先と母の祖先を較べることによって、どの祖先の影響がより濃く現れるかをある程度推測できると思われます。

 

父と母の組み合わせ次第で思わぬ能力を持った子供が生まれてくる可能性がある。この「配合の妙」が競走馬の血統の面白いところであり、本項の【配合診断】とは、独自の計算プログラムによって客観的にこれを表現しようという試みです。

 

ただし、競走馬の能力を左右する要因の中で配合要因の占める部分は決して大きくはありません。すなわち父と母の組み合わせだけで子供の能力や適性が決まるなんてことはあり得ないのです。この【配合診断】は馬の中に秘められた能力や適性を予測する一助として用いるためのものです。

 

 

 

★血統濃度について

 

血統濃度とは、私が勝手に使っている言葉であって、一般的な用語ではありません。簡単に言えば、父馬と母馬の遺伝子に共通要素が多い馬は濃度が濃い、共通要素が少ない馬は濃度が薄い、ということになります。

 

例えば、1×2というクロスを持つ馬は父馬と母馬の遺伝子が50%共通します。

2×2というクロスを持つ馬はそれが25%、2×3を持つ馬は12.5%・・・

というように世代が1つ離れるごとにそのクロスに由来する父と母の共通遺伝子は計算上半分になっていきます。

 

ある1頭の馬について父と母との共通度を求めるにはどうすればよいかというと・・・

血統表に現れるクロスを全てリストアップし、それぞれのクロスに由来する共通度を全て足し算すればよいのです(厳密に言えば少し不正確ですが、サラブレッドの場合はこの方法でおおむね十分だと思います)。

 

血統濃度は以下の11段階で表します。

・非常に濃厚

・かなり濃厚

・濃厚

・やや濃厚

・中~濃

・中

・中~薄

・やや希薄

・希薄

・かなり希薄

・非常に希薄

 

見た目上で強いクロスを持っている馬の血統濃度が必ずしも濃厚とは限りません。サラブレッドというのは血統表の深いところに無数のクロスを持っています。どんな馬でも9代までのクロスを数えると数百程度はあります。それらを総計すると強クロスの何本分にも匹敵しますので、見た目だけで判断するのは間違いの素です。また、強いクロスを持つ馬は往々にして血統構成が単純化されてしまい、総クロスが激減して血統濃度は薄くなるというパターンもよくあります。

 

 

 

★主要素について

 

主要素とは、父と母の共通祖先のうちで特に産駒に強く影響を伝えていると推定される馬です。これは計算により導き出したものです。

 

影響力の度合いを「強」「中」「弱」の3段階であらわします。「強」よりさらに強い場合は「激強」と表記します。弱以上に相当する共通祖先が無い場合は最も強い1頭を選んで「微弱」と表記します。

 

現代のサラブレッドでは「中」でもかなり強力と言えます。「強」はなかなかお目にかかれません。日本の現役種牡馬の中では、キングカメハメハ、ジャングルポケット、デュランダルの産駒には極まれに「激強」が出現することもあります。 血統濃度の薄い馬では、「弱」でも十分に有効だと思います。

 

現代のサラブレッドにおいて主要素としてよく現れるのは以下のような馬です。

NearcoPhalaris、Pharos

・Hyperion、Gainsborough

BlandfordBlenheim

・Teddy、Man o'War

 

 

★その他

 

 以下、時間あるときに書いたり書き直したりします